【空色の未来[海色の過去]】
学校にて…
「みーーおーーちゃん!」
夏樹うるさ…
「お昼一緒に食べよ!!」
「昼奢ってやっから、俺達と来いよ…」
不器用な佳祐なりの優しさを含んだ
言葉に胸が少し熱くなったのは
皆には秘密にしとこう…
その言い方チンピラっぽいけどね。
だけど、折角のお誘い申し訳ないけど…
絶対やだ
「夏樹うっせーよ…
美緒、昼一緒に飯食おうよ?ね!」
止めに入った涼介もその愛らしい瞳で
結果的にランチに誘ってきた
ハァー…
もうお昼時だけど何でかこの目の前の
馬鹿3人(涼介は天使♪)は
私がOK出してもいないのに
お昼に誰が私と食べるか喧嘩してる…
この際3人で食べちゃえば…?
その馬鹿共の様子から少し隣にずらすとテスト勉強をしてるふりをして
族の情報をまとめてる朔弥と
その反対側では寝ながらパソコンを
カチャカチャ作動させている祐介…
きっと新しい情報を探したり
色々なセキュリティのロックを外したりしてんだろう。
さあてと、もう一眠りしようとするか…
良い感じに眠りにつこうとすると
さっきまで黙って隣で座っていた響也が
私をジーって見てきた。
「…なに?」
「お前飯食わねえの?」
「要らない…」
「お前細すぎ…食え…」
「お腹すいてない」
本当にお腹すいてない…
だけど響也はもとから
朔弥に頼んでいたのか、
デザートやフルーツやパン
おにぎりなどあらゆるものを
買ってこさせていた…
もう、本当おせっかい…
すると朔弥が近づいてきて
「響也は美緒ちゃんの体を心配して
食べやすいものを頼んできたんだよ…
ほら…美緒ちゃんお昼になっても何にも
食べてないじゃん?」
そう言うと私に「何でも良いから…ね?」
って私に袋の中身を見せた…
響也って案外見てるんだね
ボーッとしてるのかと思った
私は一度響也を一瞥した
「食えよ…」
そこには族の総長の面影はなく
ただせがむように儚く笑う響也がいた
何かこんな響也初めて見た…
フニッ…
「何してんだ……」
響也の頬っぺた摘まんでみた
「さっきの顔嫌いだからやだ…」
響也は少しポカンとするとすぐに
顔を引き締めた…
こういう時は勘が鋭いから助かる
やっぱり響也は総長なんだね
ふと買い物袋に目を向けると
チェリーとメロン、ミカンなどの
色々はいったパックがあった。
パカッ…
パクっ
美味しい♪
だけどやっぱりお腹一杯…
「響也あげる…」
「お前ほとんど食ってねえじゃん」
だって本当にお腹一杯なんだもん…
「マジかよ…お前の腹どうなってんだ?」
さぁ?こっちが聞きたいよ…
夏樹にあげちゃおうかな…
「夏樹…果物いる?」
「えっ!!本当に?欲しい欲しい♪」
全く夏樹犬は今も生存中だね
耳と尻尾が見える…
きっと、犬だったらトイプードルかな?
ガシッ…パクっ
「あー!響也!!俺の果物!食うなよ!」
夏樹がスキップで来ようとしてる隙に
横から響也が私の手首ごと掴んで
フォークに刺さったメロンを
パクっと食べてしまった…
「甘え…」
なら食うなよ…
これ前にもやったな
「砂糖もシロップもかかってないよ…
てか、欲しかったんだね響也…」
顔を覗きこむとムスッとしていて
なんだか小学生が不貞腐れてるように
幼稚に見えた…
「夏樹にはやりたくねえ…俺が食う…」
独占欲出しすぎのこの猛獣の
可愛い発言にキュンとした
可愛い♪
思わず私は響也の頭を撫でてみた
すると気持ち良さそうに
目をつむりながら今にもゴロゴロって
鳴きそうだった…
「あーあ…よくまぁ、
飼い慣らされていますね。
青龍の総長であろう響也は…」
「…良いな。僕もなでなでして欲しい」
涼介はとぼとぼ私の方にきて
服の袖を引っ張った…
私は反対の手で涼介の頭を優しく
とかすように撫でた
「本当、凄いよね。
会って一ヶ月ちょっとなのに
涼介も響也もあれほど女嫌いだったのに飼い慣らされちゃって……、
本当に心を許せる存在に認めたんだね。
なんか不思議だよな…。」
祐介は物思いに耽り(フケリ)ながら
私達3人を見つめた
そして
珍しく口角を少し上げて微笑んだ
「まだ美緒さんの情報は
未知な事ばかりですけどね。」
苦笑に似た微笑をして
朔弥はまた何かの調べごとに専念した。