【空色の未来[海色の過去]】
≪第3章 青龍の姫 ≫
響也side




夏樹と佳祐の話によると今日転校してきたらしい女が凄え…って興味しんしんに話をしてきた



女かよ、興味ね



だけど女嫌いの佳祐と夏樹が気にかける女なんて珍しい




キーンコーンカーンコーン…



予鈴がなったのでそろそろ教室向かうか

俺達は真面目じゃねんだけど担任の葵先生に怒鳴られるから行くんだ

マジで恐えよあの先公…



俺達はそそくさと教室に向かった







ガラッ


教室にはもう授業を始めてる葵先生がいて不良校なのに皆真面目に授業を受けている。

その光景は何時見ても違和感しかなかった



ふと窓側の席に見知らぬ女が寝ていた。






ここで何時もだったら俺はガン無視を決め込んで女を眼にもいれなかっただろう


だけど今は違った




俺は寝てる女を瞬(マバタ)きせず見つめた…




その女が醸し出す雰囲気に俺は目が離せなくなった。



綺麗な肌触りの良さそうなセミロングの茶髪の髪…

ぷっくりとした柔らかそうな唇…

そして何よりも俺を惹き付けたのは
一瞬瞼(マブタ)開けて俺を写した、
吸い込まれそうな黄色がかった茶色の二重の瞳…



一見普通な容姿だが、そこら辺にいる女に比べてなにも着飾らないのに本当の姿が綺麗な女を俺は初めて見た




う……ん…



女は目を瞬(シバタ)かせようやく起きてきたようだ…





「遅刻だ、お前ら…さっさと席につけ」




葵先生は殺気の籠った恐え眼をして俺達に言ってきた




「「すんません…」」




「ごめんなさい」



「すいません」




「申し訳ございません」




「……。」





佳祐と夏樹はハモって同じことを言い、
涼介は目を潤ませて破壊的な謝罪をして祐介は律儀に素直に謝って
朔弥に関しては全く反省の色は見せていない。

俺はまだあの寝起きの女に目が釘付けだった。





「響也も言いなよ…!」





焦った声で祐介は俺に言ってきた




「お前誰だ」




祐介に答えず俺は女に話しかけた



女は無表情で俺を見たがそれには答えずまた眠りにつこうとしていた。


俺達を前にしてだいたいの奴等は
媚びるか恐がるかのどっちかだ…



この女はどっちでもねえ

まるでこれっぽっちも興味がねえって態度で寝始めた


チッ…


無意識にでた舌打ちは許せ、
こいつの反応に驚いたのは俺だけじゃない

青龍のメンバーも驚きを隠せてないでいる




「あっ!!」




すると突然夏樹が叫んだ





「こいつ、朝会った変な女じゃん!」




佳祐も女を見て反応した




こいつか…


屋上で夏樹と佳祐が言ってた女…



本当、なんの反応もしないな




「わちゃわちゃ五月蝿えんだよ!!席つけ!」





とうとうキレた葵先生は怒りの形相で俺達に睨みかかる。


俺達は急いで座った。



……。





「葵、五月蝿い…。」











寝ていた女が静かに言った。




クラスの皆は女に凝視してそのあとの惨劇の心構えをした。
ヤベえよ、葵先生キレるぞ…





「ああ、悪い」





だが葵先生はキレるどころか女に詫びをいれた。





「お昼になったら起こして」




「ああ」





二人の会話を聞きながら

また俺達は又驚いて、1つ疑問が浮いた



この女、一体何者なんだよ


女はまた眠りについた…




俺は席について女を観察することにした。






「美緒ちゃーん、また会えたね。
てか同じクラスなんて俺感激だよ~」



「……クゥ…。」



夏樹は女にウザいくらい話しかけるが

女は…

爆睡してる…

こいつ転校初日にどんだけ寝てるんだ?





ジー…


こいつを観察して分かったこと…

化粧をしてないのに綺麗な顔立ちをしていて髪はようく見ると茶髪の髪は地毛だ





「…なに?」





ビクッ




こいつ起きてたのか…

女は目を擦りながら起き上がり、俺に顔を向けた




「お前は何者なんだ」



率直に俺は女に聞いてみた




「高橋 美緒」



女はさも不思議そうに当たり前の事を言った



「ちげえ、お前は何の為に此処に来た」




すると一瞬、

女は視界を遠くさせたのが分かった。
俺を通して何かを見てる…




「おい、」




俺の声に女は意識を戻し、少し顔を歪めたけれどまたあの無表情に戻った




「あんたに関係ない」



女はそれを言い黙った





「………そうか…」




俺は女に無理矢理聞くことはしなかった
何故なら、気がついたからだ




女があれほど被っていた無表情の仮面が一瞬だけ、儚く泣きそうになったからだ



俺は女がまた寝息をたてるのを横で見守る他なかった。






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