【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
「あぁ、これ?このアイスは未菜のだよ」
俺は、未菜がここのテーマパークのアイスが好きって言っていたのを覚えていたんだ。
だからもう少しで戻って来るであろう未菜のアイスも買ったのだ。
「......へぇ...未菜の分ですか。......ラブラブなんですね...」
そう言った千沙ちゃんは下を向いていて、どんな表情をしているのか分からない。
けれど、声から千沙ちゃんの様子を伺う限り、明らかにテンションが低く感じる。
「やっぱり、アイス大きすぎた...?あれだったら、残しても良いからね?」
「......本当、大きすぎですよ!けど、残しません」
やっぱり...大きすぎたんだ。
普通のサイズにしとけば良かったな...
「でも、本当に無理はしないで!」
「瑠星先輩がくれた物、粗末になんて出来ませんよ。初めて私のために買って来てくれたんですから...」
そんな、アイスごときで大袈裟な。
テンション低くなってまで、無理やり食べる物じゃないのに...
けれど、そこまで言われて俺がどうこう出来るわけもなく、俺は未菜と翼が帰ってくるのを待った。
それから直ぐに未菜と翼は駆け足で戻って来た。
2人の顔からは笑顔がこぼれていて、楽しかったことが伝わってくる。