【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
「...ち、千沙ちゃん体調良くなかったんだよ...だからゆっくり休みたかったんだよ......きっと...」
この状況をなんとかするべく、1番最初に沈黙わ破ったのは俺だった。
拙い言葉で必死に理由付けをし、意味の分からないこの状況を脱出したかったのだ。
「そ、そうだったんだ...ごめんね、気づかなくて」
「気づかなくて...ごめんな」
きっと未菜や翼も俺と同じで、無理やり付けた理由にすがった。
けれど千沙ちゃんは何も答えず、ただ涙をポロポロと零すだけ。
その視線の先には心做しか、地面に落ちたアイスに向けられていた。
この日を境に、俺達はこのことを口にせず、あたかも何も無かったかのように振舞った。
GW明けも、今までの関係を崩すことなく。
ただ、1人を除いては──