【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
外は蒸し暑く、蝉か忙しく鳴いている夏。
俺は既に部活を引退していて、用事がない日は未菜の部活が終わるまで学校で待っているのが日課になっていた。
そして、決まってそんな日は翼も一緒に残っていてくれる。
翼いわく、家に帰っても暇だかららしい。
暇とか受験生が口にしていいのだろうか微妙なところだが、1人でいるよりは楽しかった。
部活が終わる時間になると昇降口で翼と別れ、俺はテニスコートへと足を運ぶ。
「りゅーちゃん!お待たせ!!」
するとタイミング良く未菜がラケットバックを持ってやって来た。
「じゃあ、帰ろっか」
「うん!!」
未菜は部活で疲れているはずなのに、その疲れを感じさせない笑顔で頷いた。
俺達は肩を並べてゆっくり歩き。
そして、自然と手を繋ぐ。
手を繋ぐことに関しては、特にお互い意識することもなく、当たり前のように繋いだ。
それから俺達は、今日の出来事やらを話し出す。
そうすることで、自然とお互いの知らない情報を得ていた。
その時、
「あっ!瑠星先輩!未菜!」
校門を出た場所で千沙ちゃんに名前を呼ばれた。
バッ──
えっ??
それとほぼ同時に、未菜は俺から手を離した。