【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
「あっ、それじゃあ...私お母さんからお使い頼まれているので、ここで」
学校から100mぐらい歩いた交差点で、千沙ちゃんがそう言ったため、手を振り別れた。
この100mくらいの距離。
こんな短い距離だけど、一緒に帰ったのは凄く久しぶり。
あの日...GWの日以来。
俺達は一緒に帰ることも、話すことも。
なにもかも無くなり、千沙ちゃんが転校してくる前の状態に近かった。
「久しぶりに千沙ちゃんと話したなー」
未菜は同じクラスだか話しているだろうけれど。
俺はクラスも違えば学年も違う。
「...私も久しぶり」
ん?
「クラスで話したりしないの?」
そんな俺の質問に、未菜は視線を泳がせた。
そして、
「えっと...今は、その、授業もグループワークが多くて...そのメンバーで行動することが多くなってるから」
と小さな声で答えた。
「まあ、それなら仕方がないね。けど良かったね、久しぶりに話せて」
「あぁーうん。そうだね!」
未菜は少しだけ疲れたような顔をしたが、すぐにいつもの明るい笑顔に戻っていた。