【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
花火大会後の登校日。
俺はそこで初めて、翼がいなくなったことを知り、彼が転校したことを知った。
その時の俺は意味が分からなかった。
いくら俺達が揉めていたとしても、親友の俺には一言ぐらい言うだろ!って。
だけど、俺は実際なにも聞いていなかった。
クラスではその話題でもちきり。
そして、ある1人がクラス全体に言ったんだ。
「女生徒を襲おうとしたのがバレたらしい」
って。
それを聞いて、すべて繋がった。
きっと、自分のしたことの恥ずかしさから言えなかったんだ。
だから黙って俺の前から消えたんだ。
花火大会のときだってそうだ。
俺のことを応援するフリなんてして、未菜と一緒にいるくらいだ。
「...最低なヤツだ」
翼のことをこの時、心底見損なった。
そして、そんな翼と一緒にいた未菜にも腹が立つ。
夢に描いていたこの恋は、こんなんじゃなかったのにな──