【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
それから俺達は、次第に顔を合わせることも、会話をすることもなくなっていった──
そんな俺達を繋げるモノは、〝付き合ってる〟という名前だけの関係だけ。
どちらかが別れを切り出すこともせず、季節は夏が終わり、秋も過ぎ去り、冬になった──
あれから翼からメールが届いていた。
黙って姿を消したことに対する謝罪。
だけど俺はその謝罪メールに返信することは無かった。
正直俺自身がどうしたら良いのか分からなかったんだ。
それから翼は、今日はなにをしたとか、道端に咲いていた花が綺麗だったとか...そんなメールが不定期に送られ続けた。
けれどやっぱり、どのメールにも今更返信する勇気なんてなくて、複雑な気持ちになるだけで、最初は読んでいたメールも今では読まなくなった。
未読のメール件数が溜まっていく一方。
それと同時に、翼からのメールが届くと少しだけほっとする。
今日も未読のメールが増えるのを見ては少し安心していた。
俺は外に視線を向け、なかなか弱まらない雪にため息を零す。
外は吹雪で窓から見る景色は真っ白。
こんな日は雪が弱まるのを教室で1人待つのが日課。
いつも...放課後翼と未菜の部活が終わるのを待っていたっけ...
今ではそんなことが随分昔の出来事に感じる。
未菜といつから話していないんだろう...
その時...
ガタガタッッ──
廊下から変な音が聞こえてきた。
みんなとっくに下校してる時間なのに、こんなにも大きな物音が聞こえるとか。
一体何事...?