【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
この後に及んで俺が涙を流すことが可笑しいのは分かっている。
だけど...
どうか、どうか...この瞬間だけ許して下さい──
俺は未菜にすがるように、泣き声が外に漏れないように、俺は声を押し殺して涙した...
...未菜との思い出はたくさんあるはずなのに。
どうしても思い出すのは未菜の泣き顔だけで。
楽しいことだって沢山あったはずなのに、思い出すのは悲しいことばかりで。
どれだけ俺が未菜のことを見ていなかったのか、嫌という程突きつけられる。
俺は強引に目を擦り涙を拭うと、未菜の頭を震える手で優しく撫でた。
「......未菜ごめん...もう僕のこと、忘れて......」
そして俺は、最初で最後のキスを未菜の唇に落とした──