【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
白い封筒の中身はどれも写真だった。
封筒から出した写真は机の上だけでは収まらず、床にまで散らばっている。
その光景を見ては、吐き気がした──
同時に山野千沙に対する怒りがこみ上げてくる。
そして、未菜は...
たった1人で戦っていたんだと痛いほど思い知る。
未菜の部屋に散らばった無数の写真は...
ある1人を被写体として撮り続けられていた。
俺は我に返ると、CDやそれらの写真をかき集め鞄の中にしまい、未菜の部屋から立ち去った。
帰る時に未菜の両親に挨拶し、俺は相川家を後にした。
そして俺は家の庭で持ち帰ってきた写真を燃やした...
もう2度と会えない君を思い、あの時のキスを思って。
この写真と同じように俺の思いも消すかのように。
「さよなら...」
消えていく写真に向かって言葉を掛ける。
───
──
─
写真の被写体は、相川未菜。
ただ1人をストーカーしたものだった。