【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
久しぶりに夢を見た。
未菜の後ろ姿が見え、俺は必死に未菜のことを追いかける。
走って、走って、走って。
叫んで、叫んで、叫んで。
でも、未菜は俺に気付かない。
そしてあと少しで未菜に手が届く所で...
未菜は俺の前から姿を消すんだ。
あの頃は毎日のように見ていた夢。
最近では見なくなっていた夢。
そして、必ず眠りから覚めた俺は涙を流しているんだ。
この夢を見たのはきっと、久しぶりに未菜と再会したせいだろう。
はぁ...
あれから月日は経っているのに、この夢は正直しんどい。
起きるには早い時間だったけれど、俺はもう1度寝る気にもなれず顔を洗い起きることにした。
正確にはもう1度寝る勇気がなかったのだけれど。
「んー......瑠星??起きたの?」
俺の足音で起きたのか、長沢が目を擦り起きて来た。
「...ごめん。起こして」
「別に大丈夫。てかさ...」
なんだろ。
「瑠星泣いた?」
「えっ?」
長沢は自分の目を指差し、
「赤いけど」
と言った。