【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
あれからどれくらい時間が経ったんだろう。
オリエンテーションが終わり、俺は寮に帰ることはせず真っ暗な視聴覚室に残っていた。
別になにかをする訳でも無く、ただぼんやりと窓の外を眺めるだけ。
最初は明るかった窓の外も今じゃ真っ暗だ。
ガラガラ──
そんな俺の耳に、扉が開かれる音が聞こえた。
扉の方に視線を移すが、すぐに窓の外に移す。
「やっと見つけましたよー!」
俺の気を知ってかわざと明るく話し掛けてくる。
ウザい。
「久しぶりですね!先輩」
俺は全部無視した。
けれど、あたかも俺が無視することを分かっていたかのように一方的に話し掛けてくる。
コイツ…山野千沙はそうゆうヤツ。
「先輩、まだソフトテニスやっていたんですねぇ。もう辞めたかと思ってましたぁ」
そしてわざわざ俺の感に障ることを言ってくる。
本当、ウザいほど嫌なヤツ。