【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
あの日から1週間が経った。
未菜とは1度も会話をしていない。
会話をするような雰囲気になると、俺はいつも逃げてその場から離れて過ごした。
そんな俺の様子を長沢は不思議に思っていた。
多分瑠星だけじゃない。
他の部員も気づいていたと思う。
だけど、誰もそのことを口にしなかった。
「ランニングー!1周目ー!!」
テニスコートには部長の声が響き渡る。
「「「はい!!!」」」
そんな部長の声に部員が返事をしていく。
2周目も3周目も同様。
部長の掛け声と共に部員の声が響く。
今月末には高体連があるため、不思議と周りの士気は高まる。
俺は部活を一生懸命やることで、余計なことを考えないようにしていた。
ランニングが終われば、アップが行われ着々と練習メニューがこなされていく。
5月とはいえ、今年は例年に比べ気温が高い。
運動すればやはり汗をかく。
そんな時、
ガシャーン!!──
物が倒れる音が響いた。
音の方を見れば、カゴを乗せるためのカートは横に横転し、カゴから沢山のボールが出て転がっていて...
その中に1人...未菜が倒れていた...