【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
「悔いのないよう、全力プレーで!!絶対全道行くぞー!!」
「「「おーーー!!!」」」
高体連当日。
部長の掛け声とともに、部員皆の士気が高められる。
士気を高められたのは、もちろん俺も。
未菜が倒れた日から俺は何事もなかったかのように、一言も会話をしていない。
今となれば...だいぶ慣れた気がする。
だけど、今はそんなことを考えている場合じゃない。
この前の大会の二の舞にならないように。
集中力を研ぎ澄ます。
「瑠星どう?」
長沢は俺の調子を聞いてきた。
朝の練習で自分の調子は分かる。
調子が良い時は、体やラケットは軽く感じ、ボールはネットを超え思ったところにボールがスムーズに飛んでいく。
逆に調子が悪い時は、体やラケットは重く、ボールはネットに吸い込まれたり、アウトばかり。
今日の俺は...
「大丈夫」
前者だ。
「やっぱり!俺も今日調子良いんだー!」
長沢はニカッと笑って答えた。
長沢の練習を見てて、実際俺もそう感じた。
これなら...
ドローを見る限り全道決めの試合前に強豪校と当たる事はなく、この調子なら全道も行けそうだと思った。
(※ドロー:トーナメント表、対戦相手が載っている紙)