【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
「あ、良かった良かった!やっと戻って来た!」
そんなことを考えながら、荷物の置いてあるシートに戻れば長沢が安堵の息をついた。
「ごめん、遅くなって...」
「そんなことよりも瑠星、もうすぐで待機かかるからコートの近くて待っていようぜ」
(※待機:自分が試合する1つ前の試合になると、コートに入って試合が終わるのを待つこと。自分の試合が始まる時間ギリギリに来る人もいる)
俺は未菜の視線を感じながらも、〝おう〟と頷いた。
大丈夫。
テーピングでガチガチに固定してるんだ。
試合になればアドレナリンも出る。
俺は長沢とコートに向かおうとした時、
「待ってください!」
この声によって足の動きが止められた──