【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜


「未菜は、記憶が無いんですよ」



「は?冗談はやめろよ」



「冗談?先輩って本当昔から私のこと信じませんよねぇ。けどそれは、先輩が現実を見たくないだけですよね?」



現実を見たくない?



なんでコイツに俺のことを分かったように言われなくちゃならないんだよ。



「先輩、未菜と話したんですよね?だったら、分かりますよね。記憶が無いこと」



「……」



確かに未菜は俺のことを赤の他人のように扱った。



「未菜の中には、先輩との記憶。先輩絡みの記憶。ぜーーーんぶ消えちゃったんです!」



そう言ったアイツはニコッと微笑んだ。

仮にも〝友達〟づらしているアイツが、その〝友達〟の身に起こった出来事を笑顔で話しているんだ。



その笑顔を見ただけで、吐き気がする。



「そのことに関してお医者さんは言いました」

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