【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
けれど...それはたった1時間で消え去った...
本来なら入学式当日には寮に入っているはずだが、俺は訳あって今日から寮に入ることになっていたのだ。
さっそく寮長に部屋の場所と鍵を渡され、自分の部屋に向かう。
ルームメイトはどんな人だろうとドキドキしながらも、部屋の中に入った。
「今日からここに住む長沢大貴で......す...」
視線を先に部屋にいたヤツに向けると、俺は一旦部屋から出た。
それはもう勢いよく。
なんでなんでなんで!?!
よりによってなんで!?
俺の頭の中はパニック状態。
扉の横にある名札を見れば〝須藤瑠星〟の文字。
「嘘だろ...」
よりにもよってなんであんなヤツとルームメイトなんだよおおおおお!!!!!
俺の寮生活既にお先真っ暗。
仲良くなれる自身がない。
喧嘩する未来しか見えないよ。
俺はショックのあまり廊下にペタンと座り込んだ。
その時、
ガチャ──
部屋の扉が開いた。
「ねぇ、君さっきからなに?」
うわ...話し掛けてきた。
しかも俺名前覚えられてない...部活で自己紹介したのに、ついさっきも名乗ったのに。
「...別になんでもないし」
「あっそ」
バタン──
瑠星はなんの躊躇いもなく扉を閉めた。
あー!!もう!!!
なにアイツ!!めっちゃムカつくんですけど!!!
このままここにいるのもなんだか悔しくて俺は部屋の中にズカズカと入り込んだ。