【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
「嫌な思い出、ストレスを抱えていた原因そのもの、無意識に彼女が思い出したくないと思っている…それらが理由じゃないかと」
「…俺……」
俺は未菜にとって嫌な記憶でしかない──
「先輩のせいで、未菜がこんな目にあってしまったんですよー」
俺のせい…
その時、脳裏にあの日のことが思い浮かんだ。
『もう嫌っ!!』
『待って!未菜!』
走り出した未菜の背中。
キィィィィ──!!
ドンッ──
そして煩いブレーキ音と鈍い音。
道路に広がる赤い血。
忘れたいのに、忘れられない記憶。
そして、絶対に忘れちゃいけない記憶。