【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜


この2ヶ月で瑠星について分かったことが少しある。



決して自分の意見は言わず、なにか求められる場合には周りに合わせて当たり障りのない言葉を言う。

自分からは必要最低限しか声を掛けない。

話し掛けられたとしても必要最低限の会話だけ。

心の底から笑うことはなくて、他人に合わせた愛想笑いのみ。

そして瑠星は、自分の領域に入られないようにいつも壁を作る。

それは、ルームメイトで部活もクラスも同じ俺に対してもで、決して心を開くことはなかった。



初めはどうしてなんだろう。

もっと心を開いてくれても良いじゃん。なんて思っていた。



だけどある日の夜、



『みな...ごめん......』



瑠星が泣きながら寝言で言ったんだ。



それを聞いた時、瑠星はなにか大きなものを1人で背負ってるんだって思った。

それは俺には想像できないほど大きくて、計り知れないもの。



この日のことは俺の胸中にしまいこんだ。



もしも、〝みな〟という人が現れた時、瑠星の力になろうと心に決めて。

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