【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
いつもどこか上の空で、笑うことのないキミを私は好きになった──
話し掛けたって、〝うん〟とかの一言が多くて。
私のことなんて眼中になくって。
いつも見てるのは私の方。
そんなの恋するだけ無駄じゃないか、なんて思われても仕方がない。
だけど、どうしても、キミのこと、瑠星のことを好きになってしまった。
私は瑠星の側にいられたらいい。
ただ純粋そう思っていた。
でも、ある日。
誰もいない教室で、夕日に照らされ窓の外を眺めているキミに...
「好き」
息をするように想いを告げた──
だけど瑠星は、1度私に視線を移したものの、すぐに窓の外に視線を戻した。
瑠星の髪は夕日に照らされて綺麗なオレンジ色。
そんなことまで考えれるほど、その時の私は妙に落ち着いていた。
「...俺に瀬川はもったいないよ」
それは、瑠星なりの優しい断り方。