【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
告白してOKをもらえるなんて思っていない。
だから、断られるのはなんとなく分かっていたし、悲しくないと言えば嘘かもしれないが、泣くほどでもないんだ。
「俺ね...いつも後悔ばかりしてるんだ」
瑠星は言葉を発した。
「あの時信じてやればよかった。あの時側にいてあげらばよかった。あの時あんなこと言わなきゃよかった...って毎日毎日昔の出来事に後悔してる」
きっと瑠星は心の奥の気持ちを話してる。そう思った。
だから私は軽率に〝そんなことないよ〟って言葉を掛けることは出来ず黙って耳を傾けるしかなかった。
「俺は大切な人をいつも不幸にする...瀬川は...そんな俺にとったら太陽だ。俺には眩しすぎる」
瑠星が後悔してるのはきっと、昔好きだった人のことだろうって直感した。
そして瑠星は今もずっとその人が好き。
ずっとずっと、例え絶世の美女が瑠星の前に現れたとしても...きっと瑠星は見向きもしないんだろう。
ただ、前を向くことはせず。
常に後ろを向いて、過去に囚われる。
この時、瑠星のことを初めて可哀想だって思った。
可哀想だって思うことが相手に失礼なことは分かっている。
それでも、前を向けず過去に囚われる姿は可哀想だと思わずにはいられない。
「こんな俺を好きになってくれてありがとう」
瑠星は複雑そうな笑みを浮かべ私にはお礼を言った。
だから私は、
「どういたしまして」
と笑顔で言うしかなかった。