【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
長沢には一生敵わない気がする。
どんなに自分が傷つく運命であっても...
長沢はきっと、笑顔で全て受け止めるだろう。
俺が敵わないと思った人はこれで2人目。
1人目は翼。
翼も長沢と同じで、いつも自分のことは二の次。
いつもいつも俺の心配ばかりして、お節介ばかり。
俺の周りにはどうしてお節介ばかりが集まるんだろう。
不思議で仕方がない。
けど、俺は翼や長沢に憧れてるんだ──
もしも俺が2人だったら、誰も傷つけることは無かったんじゃないか。
みんな幸せに生活できたんじゃないか。
今も笑顔が絶えなかったんじゃないか。
2人に憧れては、もう遅い過去をもしもあの時って考えてしまう。
俺は弱い。
誰かを守れる強さが欲しい。
人を幸せに出来る人間になりたい。
俺といたら...幸せだって思ってもらえるようになりたい。
でもそれは、叶わない願い。
俺には人を幸せにすることも、守ることも、なにも出来ない。
だから今日も俺は、独りでいることを選択するんだ。