【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
「俺机に携帯忘れてさ、取りに戻って来たの」
そう言って私に携帯を見せた。
「未菜は?」
「私は千沙を探してて...」
「山野?それならさっき見たけど?」
「えっ!?どこで!?」
「昇降口ですれ違ったんだよ。まだいるかな...とりあえず行ってみよ」
私はうんと頷くと私達は昇降口に向かった。
けれど昇降口に辿り着く前に、階段で話している千沙を...りゅーちゃんと話している千沙を見つけることが出来た。
私達は息を潜め、話し声が聞こえる場所まで階段を降りた。
丁度死角になっていて、見ることは出来ないけど話を聞くには充分だった...
「お前はなにがしたいんだよ」
りゅーちゃんがいつもより低い声で呟いた。
「ふふ...なにがですかー?」
あの日...私達3人が言い争った日...私が事故にあった日のことが脳裏を過ぎる。
「ふざけんな!!いつまで友達ごっこしてるんだよ!!未菜につきまとって、今度はなにが目的なんだよ!!!」
「あら、正義のヒーロー気取りですか??本人の前ではなにも出来ない役立たずヒーローなくせに」
「...っづ!」
「ほら。なにも言い返せないじゃないですか」
2人の言い争いに耳を塞ぎたくなる。
でも、私は...この言葉を聞かなくちゃいけない。
私が歪ませたから。
私が苦しめたから。
聞かないなんて出来ない。