【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
「未菜を守りたいなら...未菜に関わらないで下さいね」
私を守る...?
「先輩に出来るのは、たったそれだけなんですから〜」
「...っ...分かってる......」
私が記憶を無くしている間も私の存在が2人を苦しめていたんだ。
「...なぁ...アンタは未菜にとってなんなんだよ」
「......私ですか?......私は、嫌われ者...ですよ」
千沙の声は少し震えているように感じた。
自分だけなにも覚えていなくて、都合良くリセット出来て、だけど...他のみんなは過去を知っている。
みんな過去を背負っている。
「...アンタも...同じか...」
りゅーちゃんはそう言い残すと、どこかへ行ってしまった。
「......同じじゃない...」
千沙はボソッと呟いた。
「先輩は...嫌われ者なんかじゃない......みんなに愛されてる...でも私は......嫌われないと...恨まれないと...生きてる意味がない...」
千沙...
初めて千沙の思いを聞いた。
そんなことないよって。
私は千沙のこと好きだよ。
愛してるよって伝えたいのに、伝えられない。
私の目からは涙が止まることなく溢れ続けた。
何度ぬぐっても、何度堪えても、涙は止まることをしない。