【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
私は1つ静かに深呼吸をする。
そして...
「...私......全部っ、思い出してるの......」
記憶が戻っていることを伝えた──
そのことを伝えれば千沙の目は泳いでいた。
それから、私達は2人きりで話した。
記憶が戻ったことを言って、これ以上みんなを傷つけるのが怖かったこと。
記憶が戻らない方がみんな気にしないで過ごせると思ったから、戻っていないふりをしていたこと。
千沙と友達じゃなくなるのが怖かったこと。
千沙は私の記憶が戻るのが怖かったこと。
申し訳ないことをしたと今も後悔していること。
私のことを今度こそ守りたいと思ったこと。
私が記憶を取り戻して辛い思いをもう1度するのを避けたく、りゅーちゃんに近づかないようにしていたこと。
私達は全部包み隠さず話した。
すると千沙は、泣きながら私を優しく抱きしめた。
そして、何度も何度も〝ごめんなさい〟と謝った。
そんな千沙のことを私も抱きしめ、同じく何度も〝ごめんなさい〟と謝った。
それから私達は笑い合った。
表裏のない真の友達として──