【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
振り返れば俺の視界には未菜の姿が入り込む。
「......今...」
なんて...言った...?
突然のことすぎて頭が追いつかない。
「りゅーちゃん!」
未菜は照れくさそうに笑顔でもう1度俺のことを呼んだ。
まさか...
もしかして...
「私...全部...全部思い出してるの...」
その言葉を聞いた時、俺の頬を涙が流れた──
そして俺は未菜の元に駆け寄ると、力いっぱい未菜を抱きしめた。
「...ほん...と?」
「本当だよ」
俺は何度も何度も確認した。
その度に未菜は泣きながら答え力強く頷く。
俺の背中に回された手の感覚は凄く久しぶりで、こうしていることが奇跡だと思ってしまう。
その手の温もりに、未菜の温もりに俺は子ども見たく泣きじゃくった。
格好悪いかもしれない。
だけど、今まで我慢していたもが溢れ続け涙を止めることは出来なかった。