【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜


「私ね...ずっと...記憶がない時も...ずっと...ずっと...りゅーちゃんのことが、好きだった」



あんなに酷い態度とったのに。

未菜は俺のことを知らないのに。

未菜は俺を好きになってくれたことが嬉しくて仕方がない。



「冷たくされても、私はりゅーちゃんを嫌いになることなんて絶対無理」



未菜は俺を抱きしめる力を強めた。



「...千沙にね、そうゆう運命なんだよって言われたの。だとしたら凄く嬉しい」



記憶を取り戻しても千沙ちゃんのことを嬉しそうに話す未菜。

その姿を見て、千沙ちゃんは未菜の側で自分が傷つくにも関わらず守り続け、未菜のことを大切に思っていてくれたんだなと思った。



「...未菜聞いて...」



俺も逃げてばかりじゃダメだ。

過去に向き合わないと前に進めない。前を向けない。



「あの時未菜を信じなくて、突き放して...側にいてやれなくてごめんなさい...逃げて...ごめんなさい...」



あの時言えなかった言葉を伝える。



未菜は俺の言葉に首を横に降った。



「私こそ...たくさん傷つけてごめんなさい」



そして今度は未菜が俺に謝った。

その言葉に俺も〝ううん〟と否定する。

< 247 / 254 >

この作品をシェア

pagetop