【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜


その時、扉が開けられる音がした。



「瑠星!!」



そして同時に中から翼が走って出てきた。

翼はよっぽど急いだのか、靴なんて履かず裸足。



「瑠星!よかった...よかった...」



俺を見て翼は涙をボロボロと流した。



こんなにも俺のことで泣いてくれる友達を俺は手放したと思うと辛く思う。



「...翼先輩...」



その時、千沙ちゃんが翼の名前を呼んだ。



「...千沙ちゃん...?」



翼は千沙ちゃんがいることに、目を丸くして驚いている。



「あの時は、本当にすみませんでした!!!」



「俺も本当にごめん!」



「巻き込んじゃってごめんなさい」



そして千沙ちゃん、俺、未菜と頭を下げて謝った。



「顔...上げて?」



けれどそんな俺達に優しく声を掛けた。

翼の言葉に恐る恐るも顔を上げれば、翼は優しく微笑んでいる。



「3人で俺に会いに来るってことはさ、もう3人では解決してるんでしょ?それなら、俺が今更怒ることなんてなにもないよ」



「翼...」



翼はどこまでも優しかった。

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