【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
「…えっ……」
未菜の驚いたような声が聞こえてくる。
けれど振り返ることなどせず、俺は無言でテニスコートを後にした。
それから休憩が終わる少し前に戻って来たが、未菜は気まづそうに顔を背け目を極力合わせないようにしているようだった。
…これで良いんだ。
俺は必死に自分に言い聞かせた。
そして無茶苦茶な練習をし、そっちに気が取られないようにした。
その結果。
今月末に行われた大会は良くも悪くもない微妙な成績に。
もちろん1年も会場に来ているものの、未菜は俺の試合を応援しに来ることは無かった。