【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
自分のことが分からないまま準備を済ませると家を出た。
早朝で人や車が少ない通り。
だけど道は朝日でキラキラ輝いて見える。
それから俺は少し早歩きで学校へと向かった。
もしかしたら翼が既にいるかもしれないからだ。
朝が弱い翼だけれど、昨日〝俺も見習おっかなー〟って言っていたからもしかすると...っていう少しの期待。
けれど案の定。
翼の姿はテニスコートにはなくて、結局いつも通りの遅めの登校だった。
「朝練するんじゃなかったのかよ」
「ごめんごめん。早起きは無理だった」
俺に対し、両手をパチンと合わせ謝る翼。
「そんなことかと思ったよ」
「さすが瑠星。...なあ...「アップするそうですよ」」
翼がなにか俺に言いかけたのと同時に、未菜の言葉が被さった。
どうやら俺達を呼びに来てくれたらしい。
だけど...
「翼なに言おうとしたんだ?」