【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
俺は花火をしている人達から離れ、ベンチに座りぼんやりと花火をしている人達を眺めていた。
別に花火に飽きたとか、そんなんじゃないけど。
ただなんとなくで、そこに深い意味はない。
視線の先には花火を振り回してみたり、色とりどりの花火に笑顔を向けている部員の姿が映る。
なんか...青春だなぁ...
柄にもなくそんなことを思った。
すると、1人。俺の方に向かって歩いてくる人影が見えた。
ドキン──
顔は暗くて見えないけど...
なんとなく分かる......未菜だ。
「りゅーちゃんは、ここでなにしてるんですか?」
俺の前に未菜が立ち、ようやく表情が見えた。
それと同時に再び胸が弾む。
「...っと...ぼんやり、してた」
緊張するのが相手に伝わらないように平然を装いながら言葉を発したが、その言葉はたどたどしかった。