【完】36℃の思い〜世界で1番大切なキミへ〜
危うく持っていたスプーンを落としてしまいそうだった。
「未菜ちゃん、瑠星のこと迎えに来てくれたんだって〜」
母さんは俺のことを嬉しそうに見ながら説明した。
てかてか、迎えに来たって?えっ?
「俺聞いてないんだけど」
「りゅーちゃんに一応メール送ったんだけどなぁ...見てない??」
メール...確かに今日は1度も見てない。
「...ごめん...」
「未菜ちゃんごめんね、こんな息子でさぁ」
母さんはふざけてわざと俺の前で未菜に謝っていた。
そんな未菜は〝いえいえ、慣れましたよー〟と母さんに便乗。
母さんと未菜は今じゃ2人で出掛けるほどまでに仲良くなっていた。
母さんは密かに娘と買い物などに行くのが夢だったらしく、未菜のことを娘のように可愛がっていて。
そのため、俺の知らない間に連絡先を交換したり、俺の昔のアルバムを見せ楽しんだりと、言い出したらキリが無い。
けどまあ、実の親と彼女が仲が良いのは俺からしたらかなり嬉しいことだ。