彼は藤娘
放課後、早速、奈津菜は職員室へ新任の佐野先生詣(もう)でに行ったらしい。
よくやる!
……と呆れたけど、同じような生徒は他にも複数いたらしい。
が、がんばれ!みんな!
佐野先生、はじめてのモテ期だろうなあ、たぶん(苦笑)。
私は、クラブに行く燈子ちゃんを見送ってから生徒会室へ。
えーっと……
なぜかここも賑わっている。
マジか?
恐る恐る入室すると、会長や副会長が熱心に勧誘していた。
「あ!来た!はい、この子が、あきちゃん!次の生徒会長候補ナンバーワン!ちゃんとこうしてベテランがいるので安心して!」
……安心できないって。
苦笑してると、確か隣のクラスの子が
「あの!他校との交流が盛んって、ほんまですか!?」
と、目を輝かせて聞いた。
ないない、そんなもん。
ひとっつもない。
なのに副会長はニコニコと外向きの笑顔を貼り付けてこう言った。
「公的な交流はないけど私的には他校の生徒会役員と仲良くしてるから、機会は作れるわ。ね?あき?」
私は、曖昧に笑うことしかできなかった。
いざとなったら、義人くんに頼むか。
数日後。
新入生対象のクラブ紹介の場にも、生徒会長に連れられて同席した。
来年のために最低1人は確保できると理想的な新一年生。
いい子がきてくれますように!
せっかくなので、生徒会勧誘のあとも残って、燈子ちゃんのダンスを見た。
燈子ちゃんは今年、キャプテンで部長だ。
舞台では芯として、ど真ん中で踊る。
……今回は、新入生の食いつきのよさそうな、かっこいい系のダンスを披露。
完璧なユニゾンは鳥肌が立つほど美しい。
あぁ、燈子ちゃん!
私が新一年生なら絶対入部するよ!
毎度のことだが、私は、だばだばと涙を流しながら見とれた。
事故が起こったのは、その翌朝。
朝練中に、燈子ちゃんは足首を傷めてしまったらしい。
ちょうど私が学校に入る時、足首をパンパンに腫らした燈子ちゃんが、保健室の先生に付き添われてタクシーで病院に行くところだった。
燈子ちゃんは泣いてなかったけれど、真っ青だった。
痛みで全く歩けないらしい。
骨折か、アキレス腱断裂か?
そう聞いて、私のほうが涙をこぼしてしまった。
彩乃くんとはまた違うけれど、燈子ちゃんも私にとって、惚れ込んだ舞姫。
こんなに突然……。
3時間目の途中で、燈子ちゃんはやっと病院から帰ってきた。
痛めた左足を膝からギプスで固めて、松葉杖をついて。
「骨折ですか?」
新任の佐野先生がそう尋ねると、燈子ちゃんは首をふった。
「靭帯が伸びたそうです。2~3週間で戻るということでした。」
よ……よかった。
今度は、安堵して泣いてしまった。
よくやる!
……と呆れたけど、同じような生徒は他にも複数いたらしい。
が、がんばれ!みんな!
佐野先生、はじめてのモテ期だろうなあ、たぶん(苦笑)。
私は、クラブに行く燈子ちゃんを見送ってから生徒会室へ。
えーっと……
なぜかここも賑わっている。
マジか?
恐る恐る入室すると、会長や副会長が熱心に勧誘していた。
「あ!来た!はい、この子が、あきちゃん!次の生徒会長候補ナンバーワン!ちゃんとこうしてベテランがいるので安心して!」
……安心できないって。
苦笑してると、確か隣のクラスの子が
「あの!他校との交流が盛んって、ほんまですか!?」
と、目を輝かせて聞いた。
ないない、そんなもん。
ひとっつもない。
なのに副会長はニコニコと外向きの笑顔を貼り付けてこう言った。
「公的な交流はないけど私的には他校の生徒会役員と仲良くしてるから、機会は作れるわ。ね?あき?」
私は、曖昧に笑うことしかできなかった。
いざとなったら、義人くんに頼むか。
数日後。
新入生対象のクラブ紹介の場にも、生徒会長に連れられて同席した。
来年のために最低1人は確保できると理想的な新一年生。
いい子がきてくれますように!
せっかくなので、生徒会勧誘のあとも残って、燈子ちゃんのダンスを見た。
燈子ちゃんは今年、キャプテンで部長だ。
舞台では芯として、ど真ん中で踊る。
……今回は、新入生の食いつきのよさそうな、かっこいい系のダンスを披露。
完璧なユニゾンは鳥肌が立つほど美しい。
あぁ、燈子ちゃん!
私が新一年生なら絶対入部するよ!
毎度のことだが、私は、だばだばと涙を流しながら見とれた。
事故が起こったのは、その翌朝。
朝練中に、燈子ちゃんは足首を傷めてしまったらしい。
ちょうど私が学校に入る時、足首をパンパンに腫らした燈子ちゃんが、保健室の先生に付き添われてタクシーで病院に行くところだった。
燈子ちゃんは泣いてなかったけれど、真っ青だった。
痛みで全く歩けないらしい。
骨折か、アキレス腱断裂か?
そう聞いて、私のほうが涙をこぼしてしまった。
彩乃くんとはまた違うけれど、燈子ちゃんも私にとって、惚れ込んだ舞姫。
こんなに突然……。
3時間目の途中で、燈子ちゃんはやっと病院から帰ってきた。
痛めた左足を膝からギプスで固めて、松葉杖をついて。
「骨折ですか?」
新任の佐野先生がそう尋ねると、燈子ちゃんは首をふった。
「靭帯が伸びたそうです。2~3週間で戻るということでした。」
よ……よかった。
今度は、安堵して泣いてしまった。