雨と君と
うわっ…以外と濡れたな。
結構本気で走ったのに…
髪をチェックしようと、鞄から鏡を取り出した。
「うわっ…」
そこには、ボサボサ頭になった私がうつっていた。
慌ててクシで髪をとく。そして、もう1度鏡でチェックをした。
どこも…おかしくないよね?
ケータイの時計を見ると8時10分。
バスが来る時間は8時30分。
私はいつもバスが来る20分前にはバス停に着くようにしている。
じゃないと、今日みたいに髪をとかしたり、心の準備をする時間がなくなるから。
彼が来る時間は8時20分。
それまでに、私は自分の身だしなみを整え、心の準備をする。
今日は何を話そうかな。
どんな事を聞こうかな。
今日も…来るよね?
色んな事を考える。すると、ピシャッ、ピシャッっと雨の音とは違った別の音が聞こえてきた。
その音が近づく度、私の鼓動は速度を上げていく。
バス停の屋根の中に、走りながらやって来た人。
雨の日に、必ず私がバスで行く理由は、この人。