Returns *リターンズ*
7年前の私は、A組のクラスに
足を踏み入れる事はなかった。
なんせ男子ばっかりだから、
どうも居心地が悪い…気がしていた。
花の用事が済むまでは、
いつも廊下で待っていた。
でも西川君を見つけた事もあり、
今日はクラス内に入ってみた。
「そういえば、ここの問題分かんないんだけど
仁、解き方教えて。」
花が辞書と一緒に持ってきた
数学のプリントを見せる。
できる兄さんがいると、こういう時いいよね。
プリントを覗き込む宮本兄弟を
横目で見ながら、西川君の隣りへ。
「西川君も特進科だから頭いいんだよね。
いーなー。」
彼の頭脳なら、7年前に戻って来てまた勉強を
やり直す事も苦じゃないんだろうなー。
西川君の机の上にあるノートを手に取る。