Returns *リターンズ*
「てってってれれ〜、てっててれれ〜」
「なんだそりゃ。」
誰もいないのをいい事に、
サビの部分のメロディーを口ずさんでいたら、
声をかけられ、心臓が
口から出ちゃいそうな程驚いた。
「っ!!ちょっとぉ、
ビックリさせないでよ──っっ!」
そこには、まりちゃん…あ、いや、
西川君がいた。
昔からよくここへきていたのかな?
「あー、タバコすいてー。」
「お酒のみたーい」
こんな事、堂々と口にできるのは、
この2人だから。
「まり…あ、西川君てさ、『まり』って呼ばれるの嫌なんだ。でも本当は『まさみち』なんだから全然いいじゃん。私なんて、はるだし ー。
小学校に同じ名前の男の子がいて『お前の名前は男の名前じゃん』って言われたっけなー。」
「大人になれば、そこまでムキになる事じゃ
ないってわかってるけど、学生時代の俺には
コンプレックスだったんだ」
「まあ確かに。一生使うんだしね。でも今は、
ムキになる事じゃないって分かってるんなら、
別にいいよね。」
まりちゃんて呼んでも、別にいいよね。
まりちゃんを見てニコっと笑う。
まりちゃん、意味が分からん…て顔してる。