Returns *リターンズ*

「…7年前ね、家族でおばあちゃんのお見舞いに行こうって言ってたんだけど。
私、前の日に友達と朝までカラオケしててね。うちに帰って爆睡しちゃったから、お見舞いに行けなかったんだ。
そしたらその後おばあちゃんの容態が急変して…」



そのままおばあちゃんは逝ってしまった。



おばあちゃんに会える事なく

そのまま逝ってしまった。



「おばあちゃんに会いたかった。
できるならもう一度名前を呼んで欲しいって
ずっと思ってた。」



病室で一度止まった涙が、また溢れ出す。



「…会えた。やっと会えた。
おばあちゃんの声聞けた…。」



まりちゃんはずっと

私の頭をぽんぽんしてくれた。



昔、お母さんに怒られて泣いてると、

おばあちゃんがぽんぽんしてくれたっけ…。



まりちゃんの手がとっても心地よくて、

余計に涙が溢れた。



数日後──、おばあちゃんは息を引き取った。



おばあちゃん、あの時はごめんなさい。

そして、もう一度会ってくれてありがとう。



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