Returns *リターンズ*

「ふふっふふーん、ふふふんー」

「それは鼻歌…なの?」



昼休み、風香ちゃんとどこに遊びに行こうか

考えていたら、花につっこまれた。



7年前にはなかった事だから、

どんなとこがいいか、何をしようか、

ワクワクしながら考えてたら、思わず

鼻歌がでちゃったよ。



しかもかわいい感じのものではなく、

オヤジくさい鼻歌になってしまった。


一応、クリスマスソングを

口ずさんだつもりなんだけどな。



「花ー、わりー辞書貸してー。」



クラスの入り口の所から仁君が呼んでいる。



仁君はしっかり者なので、花が借りに

行くばっかりなのに。めずらし。



「仁、ここまで取りに来てー。」


『わっ!宮本君爽やか〜!!』

『男前すぎるぅ〜!!』


ざわつく女子たち。


花の声で仁君がE組の教室に入ってきた。



鼻歌のまま目を移すと、仁君に着いて来た

まりちゃんが、入り口の所で立っている。



『えっ!西川君もいるよ!!
ここのクラス来るの初めてじゃない?』

『こんな間近で見たの初めてかも!』

『やっぱかっこいいねー!!』



そんな声が、教室のあちこちから聞こえて来る。

まりちゃん自身にも、その声は

聞こえていたようで、ばつの悪そうな顔を

してドアに寄りかかっていた。


仁君は花の所まで来て、2人してなにやら

夕ご飯の相談をし始めた。


まりちゃんだって、入って来ればいいのに。

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