Returns *リターンズ*
そんな不安を抱きながら、すくっと姿勢を正し
ゆ──っくり周りを見回すと、周りのみんなは
何事もなかったかのように話し始めた。
「もーっまりちゃんが変な事言うから
正体気づかれちゃうとこだったじゃない!!」
「誰も聞いてねーよ。そーだなぁ、
高校生なら…。」
頬杖をついてまりちゃんは考えこんでいる。
「まりちゃんてさ、7年前の高校生時代、
誰かと出掛けたり…デートしたりしてたの?」
「んー、なんもなかったな。クラスはヤロー
だらけだし、ずっと勉強だけだったし。でも
そういう事して、楽しい高校生生活を送っても
よかったのにとは思うな。」
へ─、デートとかなかったんだ。
ずっと勉強だけだったんだ。
ふ─ん、でもそういう事もしてみたかったんだ。
へー、そう思う相手がいたって事だ。
「そういう藤倉は?」
「えっ、あっ…私?そりゃそれなりに、
いろんな経験をし…」
「ないな。」
まりちゃんの冷たい視線がぐさっとささる。
「その口ぶりじゃ、なんもないな。」
鋭い目元はそのままで、口元だけが
ぐい〜っと弧を描く。