Returns *リターンズ*
「夢じゃないんだ…、そうか…。
…まりちゃん…、
風香ちゃんがね、
事故で亡くなったんだって…」
両手で顔を覆う。
手の震えは止まらず、
指の隙間からは涙が溢れ出す。
「まりちゃん…、風香ちゃんが…」
ばちがあたったのか。
自殺を食い止める事が出来たと調子に乗って、
遊ぶ計画をたてたりして。
まりちゃんは、私の両手を握り、
そっと自分の方へ引き寄せた。
まりちゃんの暖かい胸の中におさまり、
力強い腕の中に包まれた。
「まりちゃん…、風香ちゃ…んが…」
私がそう言うたびに、まりちゃんの腕に
力が入り、ぎゅっと私を包んでくれる。
「まりちゃん…まりちゃん…」
まりちゃんは一言も発する事なく、
ずっと私を包み込んでくれていた。