Returns *リターンズ*

『もう、やだ』


『楽になりたい』



そんな言葉しか出てこない。



そして。



『もう、終わりにする』



長い間、死を意識していたような、

そんな文章ばかりだった。



でも、次のページをめくると、



『今日は久しぶりに中学時代同じクラスだった
はるちゃんに会った』



あ、私と会った日に書いたんだ。

数ページ前まで、書きなぐるような文章だった

のに、この日のページからは本当の日記の

ように、楽しかった事などが書いてある。



『次はどんな話しようか』

『冬休みはどこへ行こうか』



ワクワクしながら書いたのが見て取れる。



「おわりにしたい…なんて書いてあるから、
もしかしたら風香は死を考えていたのかも
知れない…。でも、その後の日からは気持ちも
がらっと変わったようで。本当に藤倉さんのお陰
だよ。本当にありがとう。本当に…。もし、
自分から死を選んでたとしたら、私は余計に
辛かった…。同じ死のようで、風香本人にとって
も残された私にとっても、全く違うものなんだ。
本当に…ありが…とう」



お父さんは泣き崩れてしまった。



風香ちゃんは、本当の過去と同じで、

命を落とす事になってしまったけれど、

死の意味は全く違うのか。



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