Returns *リターンズ*
私の想い

「はる、何ボーッとしてんの?」



花に声を掛けられ、ハッと我にかえる。



「手になんかついてるの?どっかケガした?」



あれ以来私は、手のひらをじ──っと見る

クセがついてしまった。



あの日、一日中繋がれたままだった左手を。



特に意識してるわけではないけど、

気付くと手のひらを見つめている。



「どーしちゃったの、はる。明日から冬休みだよ
今年は家族で予定を合わせて、おじいちゃんちに
行く事にしたんだー!!って事で、今年最後の
坂元君を見にA組行くよっっ!」



A組かぁ。まりちゃんいるんだよなぁ。



「いやぁ、私待ってるから、
花一人で行って来なよ。」

「なんでよ、はいっ行くよ!」



なんとなく、まりちゃんに会うのが

気恥ずかしいんだけどな。



花に引っ張られるがままに、A組の前まで来た。


< 97 / 130 >

この作品をシェア

pagetop