Returns *リターンズ*

「あっ、ちょっと先に行ってて。」



用事ができたフリをして、

入り口のドア付近で立ち止まった。



この辺で花が来るのを待ってよう。


でも…ちょっとだけ。



ドアの隙間からそっと教室を覗き、

まりちゃんの姿を探した。



まりちゃん発見!!と思ったと同時に、

頬杖をついてこっちをじ──っと見ている

まりちゃんと、思いっきり目が合った。



まりちゃんは、人差し指をクイックイッと

動かしている。



…見覚えのある仕草。


……入ってこいって事ね。



「…よっ。」

「そんなとこで待ってないで、
入って来ればいーのに。」



それ、私がまりちゃんに言ったまんまじゃん。

にやっと笑いながら、そんな事を言っている。



おいおい、容易に笑顔を見せるんじゃないよ。

調子狂うじゃんかよ。


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