Returns *リターンズ*

「まりちゃんて、笑うんだね。
クラスの子たちが、まりちゃんの笑顔は貴重だ
って言ってたよ。キャーキャー言ってた。」

「そりゃ、俺だって笑うよ。楽しきゃね。
藤倉〜、お前も笑えよ〜。」



まりちゃんが、両手で私の頬をつかみ、

うに〜っと引っ張る。



「うぉっ、こ…こらっっ!!なにすんのよ!」



身体中の血液が、一気に顔に集まったようで、

一瞬にして熱をおびる。



「藤倉、顔まっか。」



こら───っっ!!まり───っっ!!



そんな事言ったら、余計に熱が上がる

じゃんかよー!!



「帰るっっ!!」



とにかくもう、この場所にはいられず、

教室を後にした。



急ぎ足で廊下を歩いている最中、まりちゃんに

ひっぱられ、まだ熱を持った頬に手をあてる。



おいおいしっかりしろ、私。


< 99 / 130 >

この作品をシェア

pagetop