オフィス・ラブ #∞【SS集】
ナンバーズといっても、いわゆる数字くじではなく、たぶんオリジナルのゲームだ。

あらかじめ来場者全員に、それぞれ2ケタの番号がふられていて、でもその数字は知らされておらず、参加者は、ヒントに従って自分の番号を当てる。

そのヒントがえげつなく、たとえば社内の人間へのヒントだったら。


あなたの数字は【企業理念の条項数】×【会社設立年度の下二桁】です。


とか、こんな感じだ。

なまじ絶対に知っているはずの情報が使われるだけに、思わず真剣に頭を使い、でも時間制限もあるからあせる。

ちなみにこの場合「年度」がひっかけで、1月設立なため「年」で計算すると答えが合わない。


チーム内での早押し戦で、正解者がいなければヒントを入れ替えて、チャンスは3回。

景品はわかっているので、数人でひとりのヒントに取り組んで山分けしてもいい。

そのへんの戦略も問われ、PC上の画面もテンポのいい、すごく面白いゲームだった。

ちなみに俺と新庄さんは同じチームで、早々に二人で作戦勝ちし、フランスの高級時計ブランドのペンセットを当てて分けあった。



「ふたりがバチェラー・パーティを開いてくれてたんだよ」

「それやるなら、ゆうべでしょ」



ぷりぷりしながら石本さんが俺を奥へやって、隣に大塚さんを座らせる。

身動きをとりやすいようにか、自分はその端に浅く腰掛けた。



「バチェラー・パーティって、なんだ」

「新郎が、独身最後の夜を男友達とバカ騒ぎして楽しむパーティのことです」



俺のほうに詰めながら、大塚さんが新庄さんに説明する。

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