オフィス・ラブ #∞【SS集】
あらまあ。
目を疑いましたが、やはりなあ、という気持ちが勝りました。
一年前から私の下に入った、新庄君とはまた違った方向に優秀な堤君の結婚式で。
雑誌局の、可愛いので私も目をつけていた、小柄で勝気な花嫁が投げたブーケを。
受けとって、なぜか振り返ったと思ったら、ぱっと彼女は駆けだしたのでした。
彼のもとへ。
彼もさすがに、一瞬驚いた顔をしたものの、受けとめるように彼女を迎え。
彼女はその腕に、転がりこんで。
あらまあ。
まあ、まあ。
「あのふたり、何かあるんですかね」
「新庄さん、すげー顔優しい」
さすがに6部の面々にも、そんなつぶやきが持ちあがります。
「絶対できてるね、あれ。見た、大塚さんの新庄さん好き好き顔」
「また、課長は」
「よくなついてるってだけでしょう」
「前から息合ってたもんね」
あえて過度に乗ってみると、予想どおり、周りはトーンダウンしました。
なんとものどかな、自慢の部下たちです。
でもきっと、彼らも何か気がついているでしょうね。
それでも言わせないのは、あのふたりの人徳に他なりません。