オフィス・ラブ #∞【SS集】
弧を描いて立つ参列者たちから、少し引いたところにいるふたりが、仲よく笑いながら、何事かささやきあっています。
ブーケで口元を押さえて、彼に耳打ちするマドンナは、我が部下ながら可愛らしく。
できることならお嫁さんに、いや、息子のお嫁さんにしたいくらい。
息子、いないけど。
背の高い身体を少し折って、それに耳を傾ける彼は、楽しそうに愛おしげに微笑んで。
その表情はかつての、あの照れくさそうな青年の顔と重なります。
一瞬、彼が彼女の手を隠すように握ったのに私は気がつきましたが、念のため見渡してみたところ、目撃したのは私ひとりのようでした。
そう遠くない未来、私は上司として、またこういう場に立てるのかもしれません。
そうしたら、どんなお祝いの言葉を贈ろう。
バツイチが何を言っても、縁起が悪いだけでしょうか。
願わくは、本日の新郎新婦にも、あのふたりにも。
永劫の誓いが、真実となりますように。
ああ、本当に。
若さって、愛おしい。
Fin.
──────────
thanks : あい様
ブーケで口元を押さえて、彼に耳打ちするマドンナは、我が部下ながら可愛らしく。
できることならお嫁さんに、いや、息子のお嫁さんにしたいくらい。
息子、いないけど。
背の高い身体を少し折って、それに耳を傾ける彼は、楽しそうに愛おしげに微笑んで。
その表情はかつての、あの照れくさそうな青年の顔と重なります。
一瞬、彼が彼女の手を隠すように握ったのに私は気がつきましたが、念のため見渡してみたところ、目撃したのは私ひとりのようでした。
そう遠くない未来、私は上司として、またこういう場に立てるのかもしれません。
そうしたら、どんなお祝いの言葉を贈ろう。
バツイチが何を言っても、縁起が悪いだけでしょうか。
願わくは、本日の新郎新婦にも、あのふたりにも。
永劫の誓いが、真実となりますように。
ああ、本当に。
若さって、愛おしい。
Fin.
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