オフィス・ラブ #∞【SS集】
「へえ」
「ちょっと他にないくらい、面白い企画でしたね、おふたりとも」
「正直なところ、どう思った?」
新庄が面白そうに訊くと、三ツ谷は腕を組んで、うーんと考えて。
「新庄さんたちのも、さすが優秀賞って感じなんですけど」
「けど?」
「堤さんたちの企画のほうが、純粋にプランニングというものを楽しんでる感じがして、僕は好きですね」
その正直なコメントに、堤と新庄は笑った。
たいした洞察力だ。
「すみません、生意気言って」
「いや、お前の感覚は、正しいよ」
恐縮する三ツ谷に、新庄が言う。
その声はまだ笑いを含んでいて、楽しそうに弾んでいた。
審査員も間抜けではなかった。
新庄たちの企画が、どこか違うベクトルを持っていたのに、敏感に気がついたんだろう。
それが、最優秀賞には至らせなかったのだ。
「若かったねえ?」
ほおづえをついて、ほぼ正面に座る新庄に笑いかけると。
そうだなあ、と。
懐かしそうに、愉快そうに。
よく通る声が、答えた。
Fin.
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