オフィス・ラブ #∞【SS集】
4人がけのテーブルに校正用紙を広げ、隣りあって立ったまま、ラフと見比べながら、こちらの要望を話す。
彼は小さくうなずきながら、一度もこちらを否定することなく、けれど無理なことは無理と、はっきり言った。
「商品を回転させるのは、僕はお勧めしません。かなり決め打ちで撮影してますので、素材のクオリティが下がります」
「他に、要望を実現できる手法があれば、回転は必須ではないんですが」
「そうですね、こちらのオブジェクトと、商品の位置を入れ替えて、サイズもぐっと差をつけるのはいかがですか」
「なるほど」
「その方向でメリハリをつけて、御社のご要望に沿いそうなデザインを何案かお出しします」
綺麗な指にペンをはさみ、それで口元を叩きながら、思案するように言う。
新人だというからてっきり年下かと思ったら、なんと年齢は2つ上だった。
どうりで、落ち着いている。
彼が、手帳のカレンダーの日付を、指で追って言う。
「お戻しはタイトになりますが、ご容赦くださいね」
「もちろん。よろしくお願いします」
一度もNOと言わない、二重丸の代理店マンだ。
このそつのない対応で、営業でないのが不思議なくらい。
「いよいよですね、プロモイベント」
修正を書きこんだ校正用紙を、持っていたファイルケースにおさめながら、三ツ谷さんがにこっと笑った。
そう、いよいよだ。
彼は小さくうなずきながら、一度もこちらを否定することなく、けれど無理なことは無理と、はっきり言った。
「商品を回転させるのは、僕はお勧めしません。かなり決め打ちで撮影してますので、素材のクオリティが下がります」
「他に、要望を実現できる手法があれば、回転は必須ではないんですが」
「そうですね、こちらのオブジェクトと、商品の位置を入れ替えて、サイズもぐっと差をつけるのはいかがですか」
「なるほど」
「その方向でメリハリをつけて、御社のご要望に沿いそうなデザインを何案かお出しします」
綺麗な指にペンをはさみ、それで口元を叩きながら、思案するように言う。
新人だというからてっきり年下かと思ったら、なんと年齢は2つ上だった。
どうりで、落ち着いている。
彼が、手帳のカレンダーの日付を、指で追って言う。
「お戻しはタイトになりますが、ご容赦くださいね」
「もちろん。よろしくお願いします」
一度もNOと言わない、二重丸の代理店マンだ。
このそつのない対応で、営業でないのが不思議なくらい。
「いよいよですね、プロモイベント」
修正を書きこんだ校正用紙を、持っていたファイルケースにおさめながら、三ツ谷さんがにこっと笑った。
そう、いよいよだ。