オフィス・ラブ #∞【SS集】
「私、田崎くんだけじゃないんだよ」
飲み屋を出たところで、手をつないでキスをしたら、いきなりそう言われた。
「どういうこと?」
恵利は、ちょっと困ったように微笑んで、何も言わない。
言葉どおりの意味なんだろう。
させてくれるけど、他にもそういう相手はいるし、彼氏にはしてくれないってことか。
うーん。
そういう中途半端な関係になったことがないから、よくわからない。
「俺は、恵利ちゃん好きだけど」
「ありがと」
恵利はふふっと笑って、どうする? と訊いてきた。
どうするも何も、可愛い。
可愛さに負けて、もう一度キスをすると、それで俺はオッケーと言ったことになったらしく。
恵利は手をつないだまま、部屋まで入れてくれた。